それ昨日も誰かに聞かれたなぁ・・・。


「そうだけど、何?」


眠たげな目をしながら、麗はだるそうに答えた。


「やっぱそうかぁ・・・。」


不自然な間に敏感に反応し、麗は男子生徒に振り返った。

そして笑顔で言う。


「だからどうしたのさぁ~。なんか恋愛相談?」


「いや、別に?それより、お前何ため息なんかついてたんだよ。」


あからさまに話をそらされたことに気づかないはずがない。


「何それ、『別に』って流行ってるの?(笑)」


「ちっげーよ!あれだろ?お前が付き合ってる子って高城財閥の高城百合(たかしろゆり)だろ?」



何でフルネーム・・・。


「そうだね。」


麗は笑顔で答え続ける。


「すっごい有名な富豪の娘さんじゃん!」


「そう?こなへんの学校行ってる子はほとんど金持ちの子だと思うけど・・・。」



うちの学校はもちろん私立。

加えて専門学校と高等学校が融合した新しい学園だ。

普通の高校の学費とはてんで違う。


そして設立者は僕の父だし、オーナーも神咲家の者。

僕らは学費を払う必要はない。


そして、そんな色んなことを継ぐのは瑠衣にいだろうと言われている。


「大丈夫なのかよ。」


男子生徒はこりずにあしらい続ける僕に問いかける。


「何が?」


「いや、付き合ってることが向こうの親に知れたら、まずいんじゃね?」


まぁね・・・。

でもそんなのとっくにばれてるし。