「次期生徒会長さん、考え事?」


皮肉なのか冗談なのか、馴れ馴れしい感じで。


「いや、別に。」


彼女は確か、昨日転校してきた子。

初日からクラスメイトから人気がある可愛い子らしいが、俺は特に気にも留めていなかった。


次期生徒会長という名は、おそらく噂のことを聞いたんだろう。

よく理由はわからないが、俺は先生からまでそんな期待の声をかけられていた。


素っ気無く答えた後、真面目にノートを取っていると、彼女がもう一度声をかけてきた。


「ねぇ、友達になって?」


俺は彼女を横目で見た。

彼女は懇願するかのように、上目遣いで俺を見つめていた。


俺は答えに困ってしまった。

友達というのは、自然に会話をしているうちになるものだと思うから。


許可なんているのか・・・?


少しそう考えたが、そうか、と思った。

きっと転校してきて間もないから戸惑っているのだろう、と。


「いいよ。」


俺が無表情にそう答えると、彼女は満面の笑みで礼を言った。


「ありがとう!あのね、気になってたんだ、君のこと。皆が言うのよ、瑠衣くんは次期生徒会長確実なくらい成績いいし、かっこいいって。」



「はぁ・・・」


「人目見たときびっくりしたの。私はかっこいいというより、瑠衣くんのこと綺麗だと思った・・・。それに、四つ子なんでしょ?瑠衣くんに似た綺麗な人が後三人もいるなんて信じられない。」



それ以上しゃべると、絶対先生に当てられる。


そう思いながら、彼はまた窓の外に目をやった。

授業中にしゃべっていると思われるより、外を見ながら考え事をしていると思われていたほうがいい。



「ねぇ、瑠衣くん?弟さんたちにも私会ってみたいなぁ」


彼女はまたその独特な甘い声で話し続けている。

彼女の背中には女子の痛い視線が集まっていることを知らずに。


「瑠衣くん?」