「そうだねぇ、もうすぐ付き合って1年くらいだし~・・・」


「マジで!?そんな昔からだったのかよ!俺気づくの遅かったわ!」


いや、君とは学園入ってからの付き合いですから、そりゃそうでしょ・・・。


・・・それでもちょっと遅いか・・・。


「でもどうでもいいでしょ~?」


「俺さ、噂でしか聞いたことないんだけど・・・百合さんって可愛いの?美人?」


・・・・。


麗は視線をはずして、また窓の外を見た。


「僕さぁ、具合悪いんだよね。ため息の理由はそれだから。しばらくかまわないでくれるかな。」


「あっ・・・わりぃ・・・。」


麗のいつもと違う口調にさすがに空気を読んだのか、男子生徒はそそくさと麗の席から離れていった。



・・・色々面倒なこともあるかもしれないけどさ、瑠衣にい・・・。


僕は兄さんに恋をしてほしいんだ。

だってそろそろ、初恋があってもいいと思うよ?

そうしたら自分を見てくれる人ができるってことでしょう?

たくさん悩むかもしれないけど、それって素敵だよ。

そしたら何か満たされない虚しさなんてなくなるからさ・・・。

たくさん笑えるから。

もうそんな寂しそうな瞳、見たくないから。


そしたらきっと心に余裕だってできるよ。

普通に笑って学園生活おくれるようになるよ。


ね・・・?

兄さん、自分じゃ気づいてないかもしれないけど、最近君は相当無理してる。


無意識に父さんの代わりをするようなことして、僕らに世話を焼いて・・・


母さんが亡くなってからますます、自分一人で何もかも背負おうとしてるよね。


違う?

・・・きっとそんなつもりない、って言うだろうけどさ。

僕だけじゃなくて、優衣も、景もわかってると思う。


瑠衣にいの笑った顔、僕らもう何ヶ月も見てない。