リビングのドアに手をかけると、ほのかに香る今日の朝ご飯と思われるトーストの香りがした。
『………はよ…』
「おはよー、ゆーり」
お母さんがキッチンで朝ご飯を作りながら、ゆったりとした口調で答えた。
私は椅子に座ると、TVのリモコンをいじった。
《えー、今日のニュースは……》
聞き慣れた声が流れ出す。
私はニュースを片目に見ながら、朝ご飯を待った。
少しすると、お母さんがトーストにチーズとハムをのせた物を持ってきた。
そして、コップ片手に牛乳を注ぎ入れ、私の前に置いた。
小さく「どうぞ」と呟くように言う。