「 なに? 」


『 絵馬 』


「 絵馬? 」


『 書くでしょ、普通 』




夕方の神社には人が少ない。
絵馬だって描き放題だよ、と
あきは笑いながら言って、




「 私、書いたことないよ 」




受験だってお守りで頑張ったもん。




それでも絵馬を買っている私は
内心呆れながらもペンを握った。




『 書いてたよ、絵馬 』


「 え? 」


『 一番上の真ん中に。って
  繭が言ったんだよ 』




嘘だ、と言いながら
書いた絵馬を片手に
あきの言う一番上の真ん中を探す。