あのキャンドルは未だに
私の部屋に飾ってある。
誕生日に渡したかったけど
あきは何度聞いても居場所を
教えてくれないし、
渡そうにも渡せなかった。
「 いらっしゃいませ 」
キャンドルを見ては
あきにどこにいるの、と聞いて
その度小さな笑い声と一緒に
”空だよ”なんて言われるから
さすがにもう聞かなくなった。
「 何かお探しですか? 」
「 あ・・・ 」
誕生日プレゼントを選んだお店に
ふらりと立ち寄って、1ヵ月後を
想像しながら店内をうろついていた。
声を掛けてくれたのは
前と同じ店員さんだった。
「 お久しぶりです 」
「 あっ、はい!お久しぶりです 」
「 キャンドル、どうでした? 」
お洒落な小物屋さんに似合う
色白でスラッとした彼女は
優しく微笑みかけてくれた。