「 ・・・ねぇ 」


「 なに? 」


「 ちゃんと前々から言ってね
  って言ったよね、私 」




携帯をしまいながら
ムッとしている私が居るのは
長い列の丁度真ん中辺り。




前売りしてたのを買ったのよ、と
嬉しそうに私に手渡すお母さんは
子どもみたいにはしゃいでいる。




「 夜中に電話しても繋がらないんだもん 」


「 ・・・だもん、じゃなくて 」


「 朝と昼は仕事で、夜は繋がらない。
  いつ電話しろって言うのよ 」




ああ、そっか。
私が一息ついているときに
あきが電話してくるから
本当にいつかけても
繋がらないのかもしれない・・・




「 ・・・メールとか 」


「 面倒だったのよ 」


「 ・・・・・そう 」




何を言っているんだ、と
内心溜息を吐きながらも
なんとか休みもとれて
何年ぶりかの遊園地を目の前に
少しだけ、ワクワクしていた。