「どないなっとんねん」


眼前に映るのは
無傷の5人組と
傷だらけになったラセン。

まったく予想していない
光景であった。


「その体おかしいやろ?
なんですり抜けんねん」


ラセンの額に血管が
浮かび上がる。


「扇風機か?貴様は」


相手はその怒りを
感じとったかのように
逆撫でする。

ラセンは考えた。

攻撃が当たらん
っちゅーコトは
分身なんか?

そやかて相手の攻撃は
全部当たりよるからに
イライラするわ

そこで思考は止まる。

「刈り殺す」

猛スピードで
一人に走りよると
加速のついた突きをみまう。

振り向き様に横薙ぎで
二人目を殴り倒すと

三人目に拳を向ける。

【風車】(ウィンドミル)
直線に放出された
竜巻が容赦なく
相手を切り刻んでいく。

その戦いぶりは
まさに圧巻である。


「すげぇな
一瞬で三人かよ・・・」


ハゼルが感嘆の声をもらす。
だがその顔は
声とは対称的に
落ち着いていた。


「次は・・・」


再び棒を振り上げるラセン。


「お前や!!」


しかし、その刹那
ラセンの背中を
激痛が走る。


「くっ・・・ごふッッ
な、なんで立てんねん
今度は・・・当たったのに」


振り返ると
先程殴り倒したあの男。

そして背中に
突き立っている
返り血で真っ赤なナイフ。

赤々しい口の中に
淀んだ凶器を
ラセンは感じた。





がぶり