落ちていく木々の断片
その中に私の体は
含まれていなかった。


「幻術
【翆龍】(アクアテール)
召喚!!」


初めて使った
慣れない召喚術に
違和感を覚えながら
解決しないといけない
当面の問題に向き合う。


「お願い!!
アイツを追い払うだけで
いいから力を貸して」


翆龍はヒレで
喉を掻きながら
こう言った。


「やだね」


主人のピンチも
救えない召喚獣を喚んだ
自分に内心腹が立った。


「うぅ・・・なんでよ
助けが必要なのに・・・」


堪え切れなくなり
溜まった涙が溢れだす。


うわぁぁぁああん
うわぁぁぁああん
うわぁぁぁああん


急に翆龍の巨体が揺れる。
あの巨大な魚が
ぶつかってきたのだ。
下からでは
よく分からなかったが
どうやら鯰のような
形をしている。


「貴様・・・
ぶつかっておいて
その態度は何だ??」


まだ状況を理解していない
翆龍はどうやら鯰を
敵と定めてくれたようだ。