「あの時はポイント稼ぎなんて
らしくない勘違いをしたもんだ


この馬鹿弟子が!!
あの子に白燈石なんか
持たせてたとは・・・」


怪物の名は、まだ知らない。

召喚術師は事前に
異界の住人と盟約を交わし
そのうえで相手を
喚び出す必要があった。

名も聞かず召喚獣を
喚び出した者は
魔界の長い歴史の中で
一度しか前例のない
珍しいコトであった。


「あなた、名前は?」


まるで別人の様に冷たい声で
ミストが尋ねる。


「聞いちゃダメだよ!!」


異変を察してトードが
ミストを引き止めにかかる。

確かにこの外見を見れば
寒気を覚えない者はいない。

頭には人間5人分くらいはある
ねじれのある2本の大角。

全身が漆黒の皮膚で
覆われており
ちょっとやそっとでは
傷一つつかなさそうである。

そして極めつけは
天井のなくなった
円形会場から
はみ出してしまう立派な悪魔羽。

それはまさしく
悪魔そのものであった。


「私はミスト・・・
あなたの名は?」


トードを無理に押し退け
悪魔にもう一度問いかける。


「ヴヴヴヴヴヴヴ」


幾千の人の呻き声にもとれる
悪魔の囁き。

それにじっと耳を傾ける。

対戦相手のプシェルでさえ
恐怖で足がすくみ
動くことが出来なかった。


「わかった・・・
じゃぁ、いきましょうか?

【悪魔王】(ディアブロ)召喚!!」