「なんなの・・・アレ」


あのナビカでさえ
体の震えが止まらない。

闘技場全体、いや
数人を除いた
会場全体の人々が
その禍々しい妖気に
感覚が麻痺していた。


「なん・・・でしか」


フェンリル待合室。

ここにもあの妖気は
例外なく届いてきた。

コロンの気持ちを
落ち着かせるために
自らの袖をぎゅっと
握らせるヒスイ。


「おかしいな、この妖気は
アイツのもの・・・
出場停止ではなかったのか?

ふふっ、嬉しいぞ

オウガ・・・お前まで
震えているのか?」


待合室に入れなくて
特別に巨大な部屋を
用意された大鬼が

信じられないコトに
震えていたのだ。

僅かながらもそれは
微弱な地鳴りのように
大地をも揺らしていた。


「これは・・・武者震いだ」

































妖気を呑まれるな!!

近くでルシファーの
叫ぶ声が聞こえる。

意識が朦朧としている
心臓の鼓動が怖いくらいに
大きく、そして速くなっている。

力が抜けていく・・・。


「ミ、スト・・・
お前、は呑まれんな・・・よ」