深々と自らの腹に突き刺る
無数の刃。

何が起きたかミストには
全くわからなかった。

ただ一つ理解できたのは
会った瞬間から感じていた
妙な違和感

その実態が
明らかになったコトだけだった。


「あなた・・・
魔武器だったの!?」


喉の奥から苦しそうに
空気を洩らして
手に力を込めて
体から刃を引き抜こうとする。

しかし刃はしっかりと
刺さっており
いっこうに抜ける気配はない。


「言ったでしょ
僕は『霊剣』プシェル
魔武器を操る魔武器なんだ
なんだか照れちゃうな」


顔を赤らめて
さらに深く刃を
押し込んでいく。


「うぅ・・・痛い
痛いよ、カエン・・・」


震える手で胸の辺りを探ると
ひんやりとした
水晶特有の冷たさが
意識を少しだけ引き戻した。


カエン・・・


会いたいよ・・・









































バッ!!

急に難しい顔をすると
遠くを見るような
目をするカエン。


「何をよそ見してる
このボンクラが」


顔だけならカッコイイ
シーンだったのだが
首から下はルシファー特製
修行君22号により
恥ずかしいポーズを
取らされていた。


「ルシファー
魔力がどんどん減ってく」


カエンの体から
黒い焔のような魔力が
空気中にのぼり
そして霧散していく。


「きたか・・・」


修行君22号の枷を外し
それを黙って見守る二人。


ミスト・・・