部屋に戻ると
しばらくは沈黙だった



そしたら麻奈は

「ごめんね黙ってて」


と言った


俺は

「本当だよ
おまえバカ」

と言った

麻奈は
寂しそうに笑った



そして俺は
いまの気持ちを話した


「麻奈?
俺の正直な気持ちを
いまから言います

聞いてくれよ?

俺は麻奈との赤ちゃん
見たいよ

して立派な家に住んで
毎日笑顔で過ごせる
幸せな家庭を築きたい

でも‥でもな?
いまの麻奈に赤ちゃんを
産むことが無理で
赤ちゃんを産むことによって
麻奈の症状に支障をきたす
ようなことになるんなら、
赤ちゃんは諦めよう?

俺は麻奈の腹ん中にいる
赤ちゃんを愛すことを
約束するよ
いまも愛しいと思ってる

けど麻奈には誰も
叶わない

麻奈への愛には叶わないんだ

麻奈がいなきゃ
意味がないんだ」



と言った



俺も麻奈も
泣いていた




麻奈は


「あたしも産みたいの

でも赤ちゃんが産まれて
髪の毛のないママは
いやでしょ?

それにあたしは癌よ

赤ちゃんが健全で
産まれてくる保証は
ないの

もしかしたら癌に
なりやすい体質で
産まれてきてしまうかも
しれない

不安なの不安で
しょうがないの」


と言った



俺は最後に


「なんども言うが
俺は麻奈が大事だ

麻奈が産むっていうなら
応援する

麻奈が頑張るよって
いうなら応援する

赤ちゃんがどんな子でも
俺は構わない

麻奈も赤ちゃんも
無事なら俺はなにも
いらない」



すると麻奈は


「優弥‥?

愛してる
愛してる
愛してるよ‥

あたし‥
赤ちゃん
産んでもいいかな?」


って言ってきた


俺は

「俺がついてる
大丈夫
俺も麻奈を愛してる」




と言った









これから俺らの
闘いがはじまる