しかし、健太郎は教室全体に聞こえる声で怒鳴った。



「コウは俺らの仲間だからなっ!


いじめるやつも、それを見てみぬフリするやつも、俺らの敵だっ!」


「健ちゃん……昨日やってたテレビからパクったでしょ、そのセリフ……」


「あ、バレた?

とにかく、そーいうわけだからっ!

皆、コウと仲良くしてくれよなーっ!」



人気者の二人にそう言われて、異論を唱えるものはいなかった。


あっさりその場をおさめてしまった二人だったが、


実はものすごく、勇気がいったんだそうだ。


自分も嫌われ者になるかもしれないから……。


でも、その恐れを乗り越えて。


二人は、俺を助けてくれた。


仲間と、呼んでくれた。


雅と健太郎に、片方ずつ手を引かれながら帰った、帰り道。


その途中で、ボロボロ泣いてしまった事を。


俺は鮮明に思い出した。


嬉しかった。


友達ができた事が。


一人じゃない事が。


嬉しかった。




そのあと、すぐに春休みに入り、進級に伴うクラス変えがあって。


野田の事を気にかける事もなくなっていた。



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