思ったより移動するのに時間がかかっていたらしい


俺より後に引いたやつがもう席に座っていた



席に着いて、思わず「ふっ」って笑ってしまった


だって、こいつの隣になれて嬉しかったから……つい、な


そうしたら、隣にいるこいつ……つまり、麻遊がこっちを見て目を見開いていた




んな、驚く事か?



麻遊は俺を見たまま、固まっていた


まるで、俺らの周りだけ時間が止まったみたいな感覚



「わ、わりぃ……」


少し、気まずくなり謝ったら首を傾げたこいつ


わかんねぇのかよ…


「笑った事、謝ったんだけど…?」


そう言ったらボソッと「………遥翔でも謝るんだ」って言いやがった



俺でも謝るわ

失礼だよな。


「……っ、わりぃかよ」


けど、麻遊が喋ってくれるとは思わなくて嬉しくて少し動揺した



「いや?別に……」


素っ気ないけど、冷たくはない

「あ、そー」



俺のが素っ気ない。


けど、これ以上麻遊の顔を見れなかった


泣きそうな顔で俺を見るなよ

誤解する……


まだ、俺の事を好きなんじゃないかって…