暁兄の事を考えると、いつもいつも涙が自然に流れてくる…
お母さんたちに聞こえないように嗚咽をこらえながら泣いていると
「麻遊ー!!!電話よー!!」
1階からお母さんの声が聞こえた
「今いくー!!」
急いで涙をふき、鏡で目が赤くなっていないか確認した
「うん、これなら大丈夫だよね」
平気だと思ったあたしは、階段を急いであんまり、音をたてないように駆け下りた
リビングに入ると、お母さんが「はい、五十嵐くんって人からよ」と言って受話器を渡してきた
あたしは、渡された受話器を落としそうになった
だって、あたし宛に電話がくることは滅多にない。
あったとしても、お父さんからとか……
だから、遥翔の名前が出てくるとは思わなかった
心臓がドキドキうるさい…
落ち着け、って言い聞かせても無駄だった
震える手で受話器を耳に当てて
「も、もしもし…」少し喋っただけで、心臓がまた暴れ出す
『……麻遊か?』
「うん」
電話での遥翔の声はいつもより低く聞こえた。
『お前さー、忘れてるべ』
「なにを」
『帰ったらメールか電話しろって言っただろ!!』
「あー、うん。ごめん」
『……ったく、心配したんだからな…
お前になんかあったのかと思って…』
キュン…
また、遥翔への思いが強くなった
あなたはどれだけ、あたしを好きにさせるつもり?
『麻遊…?』
あなたに名前を呼ばれるたびにドキドキしてるって事知ってる?
「ありがとう……遥翔。大好きだよ
バイバイ」
でも、あなたが好きだから…
ごめんねーーーー…