もう、全部伝わればいいのにな。
そんなことを思いながら
半ば無理矢理涙を止めて、
「 もう、大丈夫です 」
”ありがとうございました”と
先生から少し離れた。
背、高いんだな。って思えば
やっぱり心臓が飛び跳ねて、
だけど先生だって思ったら
今度はきゅっと苦しくなった。
「 高坂、本は好きか? 」
「 ?・・・・はい 」
「 じゃあ、これやる 」
差し出された拳に首を傾げながら
ゆっくり手を差し出せば、
「 ・・・・っわ・・・! 」
少し高いところから、冷たい
何かを落とされて、反射的に
落ちてきたそれをキャッチした。