「 少しだけ家政婦に聞いたんだけど
やっぱり中絶したらしい 」
「 ・・・・う、ん 」
それは、同じ女の子として
つい表情を歪めてしまう言葉で
私より先に先生に出会った愛さんは
私よりたくさんのものを背負っていて
そしてまたその背中に
何より重いものが圧し掛かって、
辛いとか、もうそんな感情は
麻痺してるんじゃないのかと思った。
「 詳しいことは聞けなかったけど
・・・・お前、聞けるか? 」
「 ・・・・え? 」
「 例えば、その子どもが
”俺との”子どもだったら 」
─────────────俺はその子どもを・・・
中絶が何を示すことか、
中絶が何のことなのか、
保健で習った覚えがある。
私にはまだ早い話だったけど
だけどきっと、それをする日は
来ないんだろうなって
他人事だと思って聞いていた。