「 疲れたか? 」




掠れた声を聞かれたくなくて
投げかけられた質問に
こくん、と首を縦に振った。




「 そうか。じゃあご褒美 」




”やらないとな?”と
妖しく口元を歪めた先生が
ズカズカと本を退けながら
私の目の前まで来て、




「 お疲れ、澪 」




頭に乗っかった大きな手から
温かいものを感じて、
じわじわと涙がこみ上げてきた。




先生は”なんてな”と言って
冗談だって笑うけど




「 ・・・・・高坂? 」




堪え切れなくて、
ボロボロと涙が零れ落ちていた。