――仮に、そういう子だとしても、俺のこの“愛おしい”、“守りたい”という気持ちは変わらない。

 ――仮に、里桜が俺から離れていってしまっても、俺は相も変わらず陰から守り続けるだけ。

 ……はたまた、どこかに閉じ込めてでも、里桜のことを守り続けるだけ。


「あの、一夜さん?」

「ん?」

「ちょっとボーッとしている様子だったので……。あ、友達が呼んでいるので、行ってもいいですか?」

「ああ。何かあったら、俺を呼べ」

「分かってますって」


 里桜はクスクスと笑い、それから俺の側から離れていってしまった。

 一瞬、隠れながらも後を追い掛けて、里桜の少しおかしい様子のことを探ろうかとも思ったが、そんなことをしたところでどうにもならないだろう。

 何より、里桜自身がそのことを嫌がり、最悪の場合、傷付けてしまう。それだけはなんとしても避けなければならない。俺はただ、里桜を守れたら、それでいい。

 自分のズボンのポケットから、着信を知らせるメロディーが流れた。

 牢屋から釈放された際、里桜にすすめられて買った自分の携帯電話。自分の携帯電話を持つのは久しぶりだ。メールか電話以外、使うことはないが。