「そっか……。それじゃあ、また明日ね!」
「うん!また明日!」
明るく手を振った早苗は、さっさと帰っていった。私も立ち上がり、カバンを持って会社を後にする。しばらく暗い夜道を歩いていると、背後から足音が聞こえた。
あれ?ここの道、滅多に人なんて通らないのに……珍しいなぁ。
珍しいとは思ったけれど、特に気にすることもなく歩き続ける。所詮、ここは“道”なんだ。当たり前のことだけれど、この道は私1人のモノではないし、私以外にも利用する人はいる。
桐生さんのことを考えながら歩いていく。――そのせいで、私は背後の足音が速まったことに気が付くのに、遅れてしまった。
(やばい!)と思った時には、すでに手遅れ。……私は背後から羽交い締めにされた。その力はすごくて、おそらく男性だろうと頭の端で考える。
「んーっ?!」
口を塞がれ、声が出せない。助けを呼べない。苦しくて、怖くて、力のある限り、必死に抵抗をした。けれど全く敵わなくて……。私の目元に、涙がたまっていく。
「里桜ちゃん……僕だよ」
「――っ!」
聞き覚えのある声。いや、聞き覚えがあって当然。何せその声は――“あの”鈴木くんだったから。
「うん!また明日!」
明るく手を振った早苗は、さっさと帰っていった。私も立ち上がり、カバンを持って会社を後にする。しばらく暗い夜道を歩いていると、背後から足音が聞こえた。
あれ?ここの道、滅多に人なんて通らないのに……珍しいなぁ。
珍しいとは思ったけれど、特に気にすることもなく歩き続ける。所詮、ここは“道”なんだ。当たり前のことだけれど、この道は私1人のモノではないし、私以外にも利用する人はいる。
桐生さんのことを考えながら歩いていく。――そのせいで、私は背後の足音が速まったことに気が付くのに、遅れてしまった。
(やばい!)と思った時には、すでに手遅れ。……私は背後から羽交い締めにされた。その力はすごくて、おそらく男性だろうと頭の端で考える。
「んーっ?!」
口を塞がれ、声が出せない。助けを呼べない。苦しくて、怖くて、力のある限り、必死に抵抗をした。けれど全く敵わなくて……。私の目元に、涙がたまっていく。
「里桜ちゃん……僕だよ」
「――っ!」
聞き覚えのある声。いや、聞き覚えがあって当然。何せその声は――“あの”鈴木くんだったから。