「えーっ?!マジでーっ?!……も、もちろんOKしたんでしょっ?」

「……え?」

「そりゃあ“あの”鈴木くんだもの!告白をオッケーして、付き合うことになったんでしょっ?おめでとーっ!」


 うわ。早苗に、私が勝手に告白をオッケーしたことにされている。落ち着いて言った方が信憑性があるだろうと、私は冷静に否定した。


「いや、丁重にお断りさせて頂きました」


 その刹那、早苗の叫び声が職場中に響いたのは言うまでもない。

 私は自分の耳を塞いでいた両手を退かし、「“あの”鈴木くんからの告白を断るなんてありえない!」と驚いている早苗に再び目をやる。


「なんで断ったの?!」


 ずいっと顔を近付けてそう聞いてきた早苗に、私は少し、あとずさった。


「なんで……って、ほら、私、昔に男性に誘拐されて監禁されたっていう話、したでしょう?」

「あー、うん。してたね。……え?なんで今その話が出て来て……。………………あっ」


 早苗は私の言いたいことに気が付いたのか、小さく言葉を漏らした。


「そっか。そうだよね!昔にそういうことがあったら、男が怖いのは当たり前だよね……!」

「……んっ?」