側には「息子が人様の命を奪う罪を犯してしまい、申し訳ありません。世間様に見合わせるがないので、私達の命をもって償わせて頂きます──」などといった、謝罪文がギッシリと書かれた遺書がおいてあったらしい。

 そして、桐生さんは……病院で怪我の治療し終えた後、警察の人達に連れられて刑務所へと送り込まれた。

 洋佑を殺害したことは正当防衛と見なされ、その分、罪は軽くなったものの、未成年を誘拐して監禁した罪として、懲役5年が言い渡された。

 私はあの雨の日以来、桐生さんの顔を見ていない。治療をし終えた桐生さんは、ちゃんと以前の元気を取り戻したのだろうか。

 あの雨の日の死の淵をさ迷うような表情ではなく、もともとあまり明るい表情を見せるような人ではなかったけれど、そんな表情を取り戻せているのだろうか。

 ……終わった。とにもかくにも、長くて短いその一連の出来事は終わったんだ。幕を閉じたんだ。

 昔に起きた、迷宮入りになっていた洋佑による殺人事件は明らかになった。

 桐生さんは、愛する人が殺されて心を閉ざしていたものの、その犯人が分かって本来の自分を取り戻すことが出来た……と、信じよう。

 私は再び桐生さんと出会えることを信じながら、自分の歩むべき未来へ向かって、歩きだそう。