窓の向こうから注ぐ日の光の眩しさに、私はゆっくりと目を開けた。

 見渡せばそこは、いつの間にか眠ってしまった前と同じ、あの白い部屋。──否、私が監禁されている部屋。

 夢だと思いたかった現実。夢だと信じたかった現実。でも……夢じゃ、なかった。そこにあるのは紛れもない、現実だ。


「……っ」


 桐生一夜と名乗った、私を監禁したあの人は今はいないらしく、部屋の中は気が狂ってしまうほどの静寂に包まれていた。

 私が眠りにつく前、彼はすぐそこの喫茶店でアルバイトをしていると言っていたから……それで、出掛けているのだろうか?

 他に用があって出掛けるとしたら……──そういえば、彼の年はいくつなんだろう?私とあまり変わらないような感じがするから、まさか、大学生……とか?

 ……どうせ考えていたって分からないし、深くは考えないようにしよう。

 ふと、今は何時なのだろうと壁を見渡す……が、時計はおろか、カレンダーらしきものは見当たらない。

 これじゃあ、一体今日が何月何日の何時何分なのかが分からない。

 ……確か、私が誘拐されたあの日は……6月6日の夕方、だった。私がどのくらい眠っていたのかは分からないけど、少なからず1日は経っているはずだから……今日は7日?それとも、8日?


「……」


 誰もいない、静かな白い部屋。

 喋っても意味を成さず、ここから出ることも出来ず、どうしたらいいものかと壁に背をくっつけてボーッと考えてみるものの、いいアイデアは何1つとして思い浮かばない。