「そしたら従業員たちは桐生を悪く思っておらず、桐生自身は“篠原さんを守るためだけに俺はいる”だの言い……。まぁ、なんというか、君は被害者として桐生をどう思っているのか聞きたくてな」

「えっ……」

「無理にとは言わない。君はとても恐ろしい思いをしたんだから。一言だけでも構わない、君は桐生をどう思っている?」

「それは……」

「それと……本田洋佑との関わりについても聞いておきたい。洋佑くんの両親は忽然と行方をくらまし、……あの雨が降った日に、何があったのか、我々に教えてはくれないだろうか」


 私は警察の人の言葉に、ギョッと目を見開いて驚く。まさか洋佑の両親が忽然と姿を消したなんて、思いもしなかったことなのだから。

 私は警察の人達に、今まで何があったのか……順番に、ゆっくりと話した。

 最初は桐生さんのことが怖かったが、次第に心の底から優しい人なのだと知り、悪くは思っていないことを。逮捕されるのなら、できればすぐにでも釈放してほしいとも言った。

 洋佑は実は以前に殺人を犯していて、春香さんを殺害していたこと。私が洋佑に殺されそうになったところを、桐生さんが自分の命をものともせずに守り抜いてくれたことも話した。