「桐生……さんは、どのぐらい、捕まってしまうんですか……?」


 時間がとまってしまったかのように、その場の空気が凍り付いた。

 数年で自由になれるのか、それとも永久に……。私はそこまで考えて、考えたくなくなって、目の前にいる警察の人に神経を集中させた。


「……終身刑」

「っ!!!」


 隣の気弱そうな若い警察の人の口から出た言葉に、私は心臓が握り締められたかのようだった。

 視界がグワングワンと揺れだし、呼吸が出来なくなる思いだった。しかし……。


「……そう、なるはずだった」

「えっ」


 力強そうな体格のいい警察の人が、気弱そうな若い警察の人が言った“終身刑”の後に、静かにそう、付け足したんだ。


「それって……」

「桐生について色々と調べていてな、“碧の森”……だっけか? あそこで働いている人に桐生の人柄について聞いたり、桐生自身に犯行の動機を聞いたりしているわけだ」


 碧の森……。オーナーや司さんに、桐生さんのことを聞いて回ったんだ。

 彼らは桐生さんのことを聞かされて、なんと思ったのだろうか。また、彼らは桐生さんのことを、なんと答えたのだろうか。彼らの人柄のことだから、軽蔑はしていないと思いたい……。