世間的から見たら犯罪者である桐生さんが無事だと喜ぶことは、おかしいことなのかもしれない。

 でも、私は世間のみんなからおかしいって思われても構わない。私はそれほどまでに、桐生さんのことを愛してしまっているのだから……。


「あのっ、今、桐生さんとは会えます……か……──」


 ──私の言葉を待ち侘びていたといわんばかりに、私のいる病室の扉がガラガラと音をたてて開いていく。

 その場にいたみんなで入口の方に目をやると、そこにはスーツを着た2人の男性が立っていた。

 1人は力強そうで体格のいい男性で、もう1人は若くて気弱そうな男性。彼らが警察の方、なのだろうか。


「篠原さん。残念ながら、それは出来ない」


 体格のいい男性が、口を開いた。


「桐生は篠原さんを誘拐して監禁した犯罪者だ。会わせることは出来ない」

「……」


 予想していた言葉に、私は何も言い返せなかった。

 やはり、世間的に見れば、犯罪者とその被害者の対面は許されないことなのだろう。


「手術は一応終わったようだし、近いうちに牢屋に放り込むしな」

「……!あ、あの、」

「ん?」


 私は勇気を出して、警察の人の方を真っ直ぐに見つめながら聞いた。