そして、私の言葉をカルテに書き込むのを終えた後、綾部さんは私の方を向いた。……口元がニヤけているのは、気のせい?


「変態。口」


 び、びっくりした……!私が今まさに思ったことが白井さんの口から出てきたから、うっかり自分の口から漏れているのかと……。


「里桜ちゃん、ごめんなさいね? この変態、人の絶望に染まった顔や困った顔が好きでねぇ……すぐ顔に出ちゃうの。こういう人種なんだって思っておいてね?」

「は、はぁ……」


 人種だと……分けるのはちょっと可哀相で酷いと思うけれど、この人、よくここまで病院の先生をやっていられたなぁ……。

 ……白井さんが側にいるからだろうか?もしもそうなら、綾部さんと一緒に白井さんがここへ来たことにも頷けるんだけれど。


「はい、診察は終わり。話を聴いた限りじゃ特に異常はないみたいだ。よかった。でも内部に何か問題があるかもしれないから、後に検査をしようと思う。それまでは安静にしておくようにね」


 綾部さんはそう言い、安心したようににこやかと微笑む。私も釣られて微笑んた。