「え……」


 それは、一体、どういう……?

 私が理解しようと思考を働かせていると、お父さんは椅子から立ち上がった。


「医者の人と警察の人がお前に話したいことがあるらしい。……俺はその間、廊下にでているからな」


 話したいこと……?

 なんだろう、どこか怪我はないか──とか、桐生さんについて詳しく教えてほしい──とか、かな。

 そこまで深くは考えないまま、私はコクッとうなずいた。お父さんはそれにうなずき返し、私がいる病室をそっと後にしたのだった。

 医者の人と警察の人が部屋の中に入って来る間、ぼーっと窓の外に目を眺めていると、扉が開く音がして誰かが部屋に入って来た。

 ゆっくり目をそちらに向けると、赤い口紅が印象的な白衣を着た綺麗な女の人と、眼鏡をかけた、同じく白衣を着た男の人が立っていた。

 女の人の胸元についてあるプレートには【白井(しらい)】と、男の人の胸元についてあるプレートには【綾部(あやべ)】と書かれていた。

 彼らが医者の人達……すなわち、病院の先生……なのだろうか。警察の人の姿が見えないのだけれど、まずは先生方とお話をしろ……っていうのかな?