ドクンッ、ドクンッと、急激にはやく脈打つ心臓を感じながら、私はガバッと上半身を起こした。


「うっ……」


 ……が、しかし、その瞬間に頭にツキンッ――とした痛みが走り、くらりと目眩がしたために、反射的に頭を手で押さえてうずくまる。


「お前はまだ目が覚めたばかりなんだ。急に起き上がっては身体が悲鳴をあげる。今はただ、ゆっくりと眠りなさい」

「で、でも……!」


 私の頭を撫でるお父さんの手を払いのけ、私は叫ぶように言い放った。


「桐生さんは?!洋佑は?!どうしたの?!2人は……どうなったの?!」


 お父さんの目に映る私は、どのようにして映っていたのだろう。……犯人に怯え、恐怖に満ちた顔をしているように見えたのだろうか。

 違う。私は違う。桐生さんに怯えているわけじゃない。そりゃあ……最初は怖かったけれど、今はそんな感情は抱いていない。

 あえて怯えているとしたならば、それは桐生さんと洋佑がどうなったかによって怯えているのだ。

 ……怖いんだ。お父さんの口から、誰か他人の口から、たとえ嘘でも、「2人は死んだ」と告げられることが。


「……っ」


 私の目を見つめていたお父さんは、やがて、そっと目を伏せた。そして、小さく首を横に振った。