だから、そう信じて、俺は事故や何かしらのトラブルがないかを見て回りながら、ついでに里桜が行きそうな場所も見て回る。

 もしかしたら、里桜の好きな店がオープンしたとして、店内を見て回っていたらこんな時間になっていた……とか、ありえなくはない、はずだ。

 事故やトラブルに巻き込まれていたり、誘拐されただなんて信じたくないんだよ!俺は……っ!

 ……しかし、現実は残酷だ。

 どれだけ町中を走り回っても、里桜の姿を捜し回っても、里桜を見付けることは……出来ない。

 ……やっぱり、信じたくないけど、だれかに誘拐されてしまった?

 まさか、俺の愛する大切な人が、だれかに誘拐されてしまうだなんて……思いもしなかった。

 里桜を守れなかった自分への怒りと、里桜を誘拐した犯人の怒りが、ふつふつと胸の奥底から湧き出て来るのを感じる。


「くそぉ……っ!」


 1人で震えている里桜のことを考えたら、ますます焦りが強くなる。

 一刻も早く里桜のことを見付けたい。否、見付けなければならないんだ。


 ──それからしばらくして、町中を捜し回っていた俺のもとに、再びおじさんから連絡があった。

 その内容は、警察に連絡をし、誘拐事件としてちゃんと捜索してもらえる……という、報告。

 俺は警察なんかはあてにしていなかったが、なんの協力もないよりかはマシだろう。ホッ……と、口から安堵の息を漏らす。


「絶対に捜し出してやるから、無事で待っていろよ、里桜」


 里桜からの連絡がない携帯電話を強く握り締め、俺はそう誓ったんだ。