「犯罪に手を染めようとも、血で手が染まったとしても、一夜くんはただ純粋に、まっすぐに、里桜ちゃんのことを愛していたことは確かなんだから」

「春香さん……。……私、洋佑のことを受け入れられませんでした。洋佑の本性を見た時、恐怖だけが身体中を覆い尽くしました。そして、いつの間にか……桐生さんを……愛して、いました。だから……」

「……」

「……」


 恐る恐る顔を上げると、春香さんは優しげに私を見つめていた。そして、私の頭をぽんぽんと撫でる。

 撫でられた意味が分からず、ポカンと春香さんを見上げていると……。


「里桜ちゃん。あなたに頼みたいことがあるの」

「……?」

「こんなこと……前の女が言っていいのか分からないけれど、次に一夜くんと会ったら、里桜ちゃんが言おうとしていたこと……言ってあげて」

「!……はいっ」

「それから──一夜くんのこと……よろしくお願いね」


 私はうなずいた。

 春香さんがそう言ってくれたということは、私が桐生さんに相応しいと認めてくれたからなのだろうか。

 ふわりと浮いた春香さんは私からどんどん離れていき、微笑みながら、そして、キラキラと輝きながら消えていった。