あれ……?この女性、どこかで……。

 私にはこの女性に見覚えがあった。けれど、誰なのかは思い出せない。色々と考え込んでいると、女性は静かに口を開いた。


「あなたが、里桜ちゃん?」


 美しい容姿に見合う、綺麗な声。お母さんのような温もりもあって、まるで聖母のようだ。私はコクリとうなずく。


「よかった~!間違っていたらどうしようかと思っちゃった」

 目の前の女性は、ふわりと微笑む。


「あの……?」

「私ね、神様に頼んであなたの夢の中にお邪魔させてもらっているの」

「え……?!」

「驚いちゃうわよね~!私も最初はビックリしちゃった。でも、こうしてあなたに出会えて良かったわ」


 神様なんて本当に存在するのだろうか。目の前にいる女性の言っていることは本当なんだろうか。色々な疑問が頭の中を飛び交う。

 でも、なんにせよ、目の前にいるこの女性……どこかで見たことがあると思っていたけれど……。


「あなたに伝えたいことがあるの」


 そう……この女性は……。


「……春香……さん?」


 桐生さんの家にあった写真に写っていた、春香さんだ。

 春香さんは驚いたように一瞬だけ目を見開き、けれどすぐにまた微笑む。