「お、おはよーございます」

「んん……今、何時だ……?」

「えっと、7時過ぎです」

「……そうか。もう少し、寝かせて……」


 桐生さんはそう言い、ソファーで寝ようとしたのか立ち上がろうとした。

 そうすると、当然私の手からは桐生さんの手が離れていっちゃうわけで……私は無意識のうちに、桐生さんの手を強く握っていた。


「……っ?!篠原、さん?」


 桐生さんは明らかに困惑している。

 困惑していて当然だよね。だって、私だって無意識のうちにこんなことをしてしまって、困惑している。


「あっ、えっ……と、ごめんなさっ」


 パッと手を離し、桐生さんの顔から目を逸らす。桐生さんはしばらく私のことを見つめているようだったが、やがて……。


「えっ、えっ……えっ?」


 なんと、桐生さんは私が今横になってるベッドに潜り込んできた。押されるように奥へ移動させられ、どうしたらいいのかと視線が左右に揺らす。


「ん……あたたかい」


 私の隣で目をつむりながらそう言った桐生さんは、やがて小さく寝息をたてはじめた。

 ……なんだか、猫みたい。

 無意識のうちに微笑んでしまう私。