手に何か温もりを感じたため、ゆっくりと目を開けてみると、目の前には座りながら眠っている桐生さんの姿があった。

 ──って、どうして桐生さんはここで寝ているの?!どうして手を繋いじゃっているのっ?!

 よーく思い出せ、私。昨日の夜、私は寝た。それから……──っ!!!

 ……思い出した。

 確か、昨日の夜、桐生さんがどこかへ行っちゃう悪夢を見た私は起きてしまい、桐生さんに手間をかけさせちゃったんだっけ……。

 ……手を繋いでいるのは、やっぱり、私のためなんだろうか?


「……ありがとう、桐生さん」


 不覚にも、嬉しい、だなんて。


「……」


 桐生さんの寝顔、綺麗だなぁ。顔のパーツが整っているから、余計に綺麗に見える。

 ……桐生さんの手、本当にあったかい。肉付きとか骨とか、すべてが整っていて本当に綺麗。


「……ん」


 桐生さんは、私が顔を見つめている気配に気が付いたのか、ゆっくりと目を開けてこちらを見た。


「……篠原さん、おはよう」


 寝起きのせいで掠れている声。

 寝顔を見るのも初めてだし、こんな声を聞くのも初めてだ。なんというか……新鮮!