【一夜 Side.】
最初の頃と比べ、安らかな顔をしてベッドの上で眠るのは愛しい里桜。本当に、最初の頃と比べると、心の底から安心しきっている寝顔。
そんな寝顔を見ていてると、とても心が落ち着く。……そして、とても、かわいい。
「……」
けれど、同時に、今日起こった出来事がふと頭の中を過ぎる。あれは、夕方を少し過ぎた頃のことだ。
●●●
──カランコロン。
扉を開け閉めすることで鳴る仕組みになっている、いわばベルのようなもの。そのベルが、本日何度目かは覚えていないが、また鳴った。……客が来店した証拠だ。
「いらっしゃいませ」
マスターはにこやかとその客に微笑みかける。
今日は司が休みのため、俺が代わりに挨拶をしなければならないな……と顔を上げた瞬間、言葉を失った。
「また来ちゃいました」
来店してきた客は、昨日のこともあり、まだ頭の中に強く残っている本田洋佑だった。
「……いらっしゃいませ」
とりあえず、挨拶はしておく。
「見ての通り、暇をしているからねぇ、いつでも来てくれて構わないよ」
マスターが本田洋佑ににこっと微笑むと、本田洋佑は「了解っす」と白い歯を見せてはにかんだ。
最初の頃と比べ、安らかな顔をしてベッドの上で眠るのは愛しい里桜。本当に、最初の頃と比べると、心の底から安心しきっている寝顔。
そんな寝顔を見ていてると、とても心が落ち着く。……そして、とても、かわいい。
「……」
けれど、同時に、今日起こった出来事がふと頭の中を過ぎる。あれは、夕方を少し過ぎた頃のことだ。
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──カランコロン。
扉を開け閉めすることで鳴る仕組みになっている、いわばベルのようなもの。そのベルが、本日何度目かは覚えていないが、また鳴った。……客が来店した証拠だ。
「いらっしゃいませ」
マスターはにこやかとその客に微笑みかける。
今日は司が休みのため、俺が代わりに挨拶をしなければならないな……と顔を上げた瞬間、言葉を失った。
「また来ちゃいました」
来店してきた客は、昨日のこともあり、まだ頭の中に強く残っている本田洋佑だった。
「……いらっしゃいませ」
とりあえず、挨拶はしておく。
「見ての通り、暇をしているからねぇ、いつでも来てくれて構わないよ」
マスターが本田洋佑ににこっと微笑むと、本田洋佑は「了解っす」と白い歯を見せてはにかんだ。