──この俺を見て、“なんて歪んだ愛なんだろう”と嘲笑う者がいるだろう。

 ──この俺を見て、“なんて純粋な愛なんだろう”と感心する者がいるだろう。


 俺には、どこからが通常で、どこからが歪んでいる愛なのかなんて分からない。興味もない。

 俺は俺なりのやり方で篠原さんを愛する、ただそれだけのことだ。

 人の愛を、他の人に「おかしい」だの「狂っている」だのと干渉されるのはおかしいと思うし、俺も誰かの愛を干渉する気はない。勝手にやってくれとさえ思う。


 ──まあ、誰かと同じ対象者を愛した暁には、俺なりのやり方で全力で愛して振り向かせるつもりだが。

 その時は遠慮なんてしない。全力でぶつかってくればいい。たとえ対象者が俺に振り向いてくれなくても、彼女を手放すつもりは一切ないから。


 ……ああ、そうだ。

 俺は最初から、篠原さんを手放すつもりなんて、一切ないんだ。

 篠原さんのその身を傍においておける今、彼女の心までは望まない。

 篠原さんが傍にいてくれるのなら、笑顔を見せてくれるのなら、俺はこの身が滅んでも全然構わない。

 篠原さんを守って死んで逝けるほど、他に幸せなことはないだろう。


 ……ははっ、滑稽だな。

 自分でも笑ってしまうくらいに。