ベッドの上に腰掛けると、足の鉄枷をつけるために桐生さんはしゃがみ込む。すると、結果的に、俯いている私の視界に、桐生さんの姿が飛び込んでくるわけで……。


「ひ……っ!」

「? もしかして、どこか痛むのか?」


 私の顔を覗き込むようにして、桐生さんが心配そうに顔をあげた。自然と視線が合う。……やっぱり、無表情だ。

 この人は……本当にさっきの一連の流れについて、何も気が付いていないの?私、下着姿だったんだよ?恥ずかしかったんだ……よ?


「さっき、の……」

「?」

「私、服、着てなかった、のに……」


 ぽつり、ぽつり、ゆっくりと言葉を紡ぐと、桐生さんは両目を見開く。


「……すまない。入る前に、声をかければよかったな」

「違う!いや、それもそうだけれど、そうじゃ……なくて……」

「……篠原さん?」


 私、どうかしちゃったんだな、きっと。だって、こんなの、普通の人の言動じゃないから。

 ……もう、いいや。どうかしちゃったのなら、とことんどうにでもなっちゃえ。


「……私に魅力、ないですか?」


 震える小さな声で尋ねると、桐生さんは何も話さなくなった。