綾桧は淡々と続けた。



「やっぱさ、好きでもないのに付き合うのってなんか疲れるね。相手にも悪いし。結局部活だのなんだのであんまり会えなかったしさ」


そこまで言い終えると、頭を掻きながら自嘲気味に笑う。
確かに告白は向こうかららしいし、帰宅部の綾桧と福山君が会えるのは週末くらいなものだったろう。
その間も俺達は登下校を共にしていた。
正直気が引けたのだが、残念ながらこの女毎日遅くまで続く部活動が終わるのを待つほど気が長くない。
俺が教室を出ると、いつの間にか後ろについてきているのだった。


一人じゃ寂しいだろうから一緒に帰ってあげる、と。













綾桧は鼓動を整えるようにふうっと息を吐いた。



「…だからあたしね、今度はちゃんと自分の好きな人と付き合うことにする」