二つ目のドアの奥へ成田を先に行かせる。
「仁、後を頼むぞ」
「ああ、わかってる」
まだふたりを相手にしなければならない仁に後を任せて榊と成田の後を追う。
「!」
ドアを潜るとその戸口付近に真っ赤な血を擦り付けたような跡が。
さらにその奥には重厚な造りの扉が壊され半分外れて斜めにぶら下がっていた。
隙間から戸口に寄せられた皮張りのソファー、ガラステーブルが見えた。
「成田っ!」
成田が滑り込んだ部屋に女が血だらけの巨漢にのし掛かられて潰れそうになっているのが見えた。
女が手に握っているものが光り、その光が彼女の喉元へ下りていく。
「よせ!」
叫んだ声と。
彼女から巨漢がぶっ飛ぶのと同時だった。