「……桐花さん、……桃花さん、どうして―――消えたの」


仁が改めて置き手紙を見ると眉を寄せた。
そして、りおを見つめた。


「ふたりはアレをまだ持ってるか?」

「アレって?」


りおから銃を預かってはいないことに気づく。


「…持ってる」



「……そうか」

「若、防弾の―――」

「いらねぇ」


仁が苦し気に言った言葉を遮り拒否した。

ふたりがどこからか俺を狙うだろうか?
いや、狙わない。
りおの思いが届いたと思ってる。


「りおが命をかけて彼女たちを説得したんだ。そのふたりは必ず戻ってくる」


防弾チョッキも着るつもりもねえ。


「彼女ふたりを見かけても無理に連れ戻したりするな。好きなようにさせろ。ふたりは必ず戻ってくる」