「そうですね。若、それならば毒を飲めと言われて簡単に飲めるわけはありませんからね。仲間がいるとしたら助けを求めるでしょう。
そのまえに、森内の計画が頓挫した時点で逃げ出してるでしょうか?」


榊が向き直り俺は仁を見た。


「仁、おまえの野性的な勘はどうだ?」

「自分の手を汚さないで他人を操って高見の見物をしているような輩は、せっかくのショーをトラブルがあったからって途中で見るのをやめるか?
俺なら多少のトラブルがあったって最後まで見届けるぜ」

ポケットに手を突っ込み自慢げに笑った。


「だ、そうだ」

「仁の野性的な勘はこういう時には鋭いですからね。一番当たるんです」

榊が含み笑いをして仁の肩を叩いた。

「おい、野生の熊みたいな表現だな」

「誰もそんなことは言ってませんよ」

ふたりが笑いを溢しりおも笑った。