「やっぱ、森内だったな。若、どうする?」
りおをそっと離して仁を振り返った。
仁がりおのバッグを開けて毒の二袋を取り出し、
「パーティー会場で森内にこれを飲ませるか?」
ヒラヒラと振って見せた。
「パーティーでふたりがしくじったと判ればどういうふうに出てくるかだな」
顔をあげる。
大神に仇を為す輩は許さない。
仁を口の端を上げて見る。
仁もこの世界に関わる特有の鋭い空気を纏っていた。
「そうですねぇ、森内ならばショーの最中に殺れなかったら身の危険を感じてすぐに会場を抜け出すでしょうね」
「榊さん!」
すぐ後ろに榊が立っていて、りおは思わず声を上げたことに驚いて口を押さえた。
「若、組長も何か不穏な動きがあると察知しておりました。それで、わたしなりに動いてみたわけなんですが」
「で、どうだった?」
静かな笑みを浮かべた榊が確信を告げた。