「奏さん…ごめんなさい」


りおが顔を上げても俺は無言だった。

もう抱き締めて離せない。

「……奏さん」

背中に回るりおの指先が静かに強さを増した。

「……心配かけてごめんなさい」

「………」

「……泣いてるの?」


泣いてない。
ただ目頭が熱かった。






りおがこうして腕の中にいる。

俺の唯一の光。

白く輝く花。



誰にも触れさせない。

りおを強く強く胸の奥へと閉じ込めた。



目頭が熱かった。



―――ただ、熱かった