「仁お兄ちゃん?」

「りお、おまえやっぱり殺される一歩手前だったじゃねえか」

「な、なんでそれ」

「今度はそんな危ねえ真似絶対許さねえからな!」



控え室ですべてを観ていたことは内緒だ。



「りお」

りおが胸の中でピクリと動いた。

「無茶すんじゃねえ」

「はい、ごめんなさい」



「どうせしおらしくするのも今だけなんだろが」

仁も疲れたように笑った。


「あ、桐花さんと桃花さんから飲むはずだった毒をもらってきたの」

バックにしまってきた毒の袋をバックごと仁に渡す。



「奏さん?」

「………」

「奏さん?」

「………」


腕の中から出ようとするりおをもう離せなかった。

胸は早い鼓動で大きく脈打っていて心配で狂いそうだった。