りおの両手をグッと握り、俺と親父を振り返って恨みがましい目を向けた。
「あなたも、奏も教えてくれなくて、たった今成田から聞いたのよ。ひどいわ。わたしだけのけ者にして」
愚痴ってから留恵さんはぬいぐるみに抱きつくようにりおを抱いた。
「ごめんなさいね。お腹に赤ちゃんいるの知らなくて」
成田め、しゃべりやがったな。
「わたしが奏を盗られたくなくて反対していたの。末の子はかわいいってよく言うでしょう?早くに家を出てしまったせいもあって、女性を…まだ高校生を連れてくるって聞いても納得できなかったの」
ちら。
俺と親父を見る目は冷ややかだ。
「しかもカタギのお嬢さんだって聞いてたでしょう?若い頃のわたしみたいな苦労をしてほしくなかったの。…まあ、単純に息子を若い娘に盗られたくなかったのだけれど…」