親父がりおの頭に手のひらを乗せてポンポンと撫でた。



「丈夫な孫を頼むぞ」


声音は穏やかだった。


「やんちゃしてもいい。丈夫な孫を頼むぞ」


「あ、ありがとう…ございます」

「……親父」


りおの涙が吹き出してきてポロポロと溢れ、その涙を拭いてやる。

執拗に勧められた縁談話はりおが親父に認められることで終わりだ。


―――認められた







「組長、留恵さんが見えられました」

「おう、来たか!」

「母さん」


入り口に立っている榊から留恵さんが来たと告げられて身構えた。



「りおさん、やだ」


パタパタと小走りに寄って、

いきなり。

「大丈夫?
あなた、奏。なんでわたしにりおさんの赤ちゃんのこと黙っていたのよ!」


頬を膨らましてりおに抱きついた。