「……ん、」
微かにりおの瞼が震えた。
「りお?」
りおの右手がピクリと動く。
「りお」
ゆっくりと開かれてく漆黒の瞳が宙をさ迷った。
「……奏、さん?」
「りお、」
「―――ここは?どこ?」
何でここで眠っているのかよくわからない様子でゆっくりと周りを見渡した。
「……ここは離れだ」
「離れ?」
りおが小首を傾げた。
「そう、さん。わたし、なんでここに」
りおが動こうとして右手に点滴が張ってあることに気づいた。
「……点滴?」
「ああ、りお、おまえが倒れたから」
「倒れた?」
目覚めたばかりのりおが理解できずに俺を見つめた。