「ベットに運ぶぞ」
「成田!」
「手を貸せ、早く」
成田の冷静な声が俺の正気を保たせる。
「いいか、そっと運べよ」
縁側から上がり横抱きにしたりおを更に奥の離れの部屋へと運び、白いシーツの上に横たえた。
「桐生の話ではお嬢ちゃんが倒れてるはずではなかったがな」
「………」
「何があったか知らんが、組の話に女子供を巻き込むのは好かねぇな」
難しい顔をしながら、時計を見ながら脈を測る。
「83、まあいい」
首に掛けていた聴診器をもう一度あてた。
「……奏、お嬢ちゃん何ヵ月目だ」
もうすぐ3ヶ月と聞いていた。
「……出血はねえみてえだな。……何を無茶させた?」
ズキッ
心臓に矢が刺さったように激痛が全身に走った。
斬り殺す寸前で親父がりおを庇い庭を転がった様が鮮明に浮かんだ。