「奏、その腕でわしに勝てるか?」
親父が揶揄して笑い刀を下げた。
ぬるりと血で滑る柄に、歯で噛み千切ったシャツの袖口を巻き付ける。
「俺は、勝って認めてもらう!」
「負けたらどうする?」
「俺は負けない。負けるわけにはいかない!」
ガキッ
ギンッ
斬り込み、交わしあい、息を整える間に親父と会話する。
そしてまた打ち合う。
負けられない!
ここで負けを認めるのは俺とりおの未来はないと言うことだ。
ギンッ
打ち込む度に舞うようにかわされる。
かわされた刹那に頬すれすれに刃が走る。
「く、」
ひとつ筋を見誤りすれば胴が割れてしまう。
だが刃を交えるのをやめられない。負けられない。